オフショア開発 #2

「オフショアリング完全ガイド」を読み終えたので、2008-06-17 - ソフトウェアスペシャリストへの道のエントリに続いて感想を述べたい。

後半のほとんどは、オフショア開発に関するチェックポイントの解説という感じで、実際にオフショア開発に携わることがあれば、リファレンスとして役立ちそうだ。また、契約から受入まで全体をカバーした内容になっているため、オフショア開発に関わる日本人であれば、どんな役割であろうと重宝するのではないだろうか。

ただし、銀の弾丸はない。最終的には組織、プロジェクト的な工夫や、コミュニケーションを密に取ることを地道に行い、オフショア開発の成功率を上げる努力をしなければならないことに代わりはない。設計書一つとっても、何をどこまで伝えるのかをきちんと定義し、記述レベルを統一するような努力は、各プロジェクトや組織によってまちまちだろう。というか、相手のレベルに合わせた記述レベルというものがあるため、ここまで書けばOKという絶対的な基準は定義できないと思う。要するに、オフショア開発を中長期的に進めるにあたって、長く付き合うであろうパートナーのレベルに合わせて試行錯誤しながら記述レベルやポイントを決めて行くしかないのだ。

また、オフショア開発の本だが、内容的にはどんなプロジェクトにおいても必要な考え方が網羅されているように思う。地域的な文化やコミュニケーションの問題以外は、ほとんど国内外問わず参考になるのではないだろうか。

一番印象に残ったのは、中長期的な目標(オフショア開発の方針)を明確することが非常に重要で、その目標に向かって適切な戦略を実施することがオフショア開発、というかアウトソーシングの成功への近道なのだということだ。ついつい目的が手段化してしまいがちだが、改めて肝に銘じておきたいと思った。

最後にくどいようだが、すべてにおいて「お互いを知り合うこと」をおろそかにしてはいけない。これは僕も常々心がけていることだが、この本を読んで再認識できた。